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ひろしま文化功労者表彰受賞者に聞く 〜山名洋通さん

掲載日:2021年3月15日
令和2年度 ひろしま文化功労者表彰を受賞された山名洋通さん(福山市)にお話を伺いました。

◆広島文化功労者表彰の受賞、おめでとうございます。
 長年、地域文化や郷土史、伝統文化についての研究を進めながら精力的に執筆活動も行っておられますが、ご自身の活動を振り返ってみて心に残るエピソードや思い入れ深い作品がありましたらお聞かせください。

 昭和50年代に赤名(島根県飯石郡飯南町赤名)から大森(島根県大田市大森町)へ銀山道を訪ねたことがあり、その途中で出会ったご年配の方との会話が心に残っています。当時は、「三ちゃん農業」が定着化しつつある時代で、古いものがどんどん捨てられ新しいものに惹かれていくのが世相の流れでした。故に交通・運輸の利便性から古い道は不要と判断されても仕方のないこと。しかし古いものの中には捨ててはならない「絆」があり、古い道に人々の暮らしがあったのです。また、赤名八幡宮では宮司さんと「文化7(1810)年から文政2(1819)年にわたる大森銀山の灰吹き銀送りの苦衷を皆に伝えたい」とも語り合いました。そのことをのちの昭和54(1979)年に『石州銀山道』下巻に記述しました。

※三ちゃん農業・・・それまでの働き手であった男性が出稼ぎに出たり他業種に従事したりすることにより、老年男性・女性や主婦により農業が営まれること

◆後進育成の場として、子ども達に「備後絣の藍染体験」などの体験学習の機会を提供しておられますが、そこに込められた想いをお聞かせください。
 平成23(2011)年から9年間、染のサークルを作り、草木染を継続しています。藍染については子どもを交えてハンカチの型染や絞り染め、糸染めなどを3回ほど実施しました。昨年はコロナ禍での「密」回避のため休会となりましたが、再開した暁には是非子ども達や若い方に継続的に参加していただき、染の奥深さに触れ、楽しみながら地域文化・歴史文化を学んでいってほしいと願っています。
 
◆現在取り組んでおられることや今後に向けて等、ひと言いただけますか?
 2月には「個育て」を主テーマに網引公民館(広島県福山市新市町)利用の皆さんに呼びかけを行いました。今後はサークルを繋ぐ機関誌を発行し、「今日の過ごし方を自問自答して明日の理想を追うこと」の大切さを呼びかけていこうと思っています。 
 
ありがとうございました。
藍染体験は続けて参加されると、染の入り口で終わることなく次の工程へ進むことが出来、より楽しめるのだそうです。コロナ禍が明けた暁には是非、親子で繰り返し参加してみてはいかがでしょうか!

山名洋通さん


書籍 『石州銀山道 下』


備後絣 (贈呈式での展示)