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みよし風土記の丘ミュージアム『江戸時代の子ども事情―幼き者へのまなざし―』

掲載日:2021年10月1日
  現代に比べ、医療が発達していなかった江戸時代には、幼いうちに命を落とす子どもが大勢いました。大人になるまで生きるのは当たり前のことではなく、子どもの無事な成長は、当時の人々にとって切実な願いであり、子どもに贈られる玩具や生育儀礼には、そうした大人たちの祈りがこめられていました。また、子どもの命をつなぐ上で、周囲の手助けが不可欠だったため、当時の子育ては、だれかひとりが抱えるものではなく、相互扶助のもと行われることが一般的でした。
  本展覧会は、安芸・備後地方の資料を中心に、江戸時代の子どもが地域社会の中で生まれ、成長していく様子を紹介するものです。古文書や民俗資料などを中心に、江戸時代を生きた子どもの実像に迫ります。母乳不足や病気といった子育ての中で生じる問題や、日々の暮らしの様子など、さまざまな側面から子どもに光をあてていきます。展示の中では捨子や間引き(生まれた子どもを殺すこと)といった社会的課題に対する取組についても紹介します。
  この展示をとおして、子育ての歴史に対する理解を深めていただくと共に、現代にもつながる子どもをめぐる諸問題を考える契機にしていただければと願っています。(みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)学芸課長 西村直城)

みよし風土記の丘ミュージアム『江戸時代の子ども事情−幼き者へのまなざし−』令和3年度 夏の特別企画展
【会場】みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)(三次市小田幸町122)
【会期】10月8日(金)〜11月28日(日)
【時間】9:00-17:00(入館は16:30まで)
【休館】月曜日
【料金】一般600(480)円、高校・大学生450(360)円、小・中学生300円(240円)
※( )は20名以上の団体料金

◆関連行事・イベント◆
1 第1回記念講演会「人形や玩具にみる江戸時代の子育て」
講師:尾崎織女(日本玩具博物館学芸員)
日時:10月16日(土)14:00-16:00
定員:50名(事前申込・先着順)

2 第2回記念講演会「江戸時代の子どもたち―いのちをつなぐ」
講師:沢山美果子(岡山大学大学院社会文化科学研究科客員研究員)
日時:11月20日(土)14:00-16:00
定員:50名(事前申込・先着順)

3 ワークショップ
(1)スペシャルイベント「風土記の丘で植物について知ろう」
講師:吉野由紀夫(広島県文化財保護審議会委員)
日時:10月23日(土)10:00-12:00 
定員:30名(事前申込・先着順)
参加費:100円(保険料)
(2)寺子屋ワークショップ「和綴じ本づくりと“くずし字”はじめの一歩」
講師:当館学芸員
日時:令和3年11月21日(日)10:00-12:00
対象:小学生以上
定員:15名(事前申込・先着順)
参加費 200円
(3)秋のモノづくり体験「作ってみよう!古代の首飾り」
指導:当館学芸員
日時:令和3年10月31日(日)、11月7日(日)10:00-15:00
定員:20名(当日受付・先着順)
材料費:250円(基本セット)から

4 展示解説会
日時:10月24日(日)、11月14日(日)14:00-15:00
※特別企画展の入館券が必要です

【問い合わせ先】みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)0824−66−2881

亥の子祭りに参加する子どもたち 重要文化財菅茶山関係資料「風俗御問状答書」江戸時代後期 広島県立歴史博物館蔵


背中に魔よけのお守りが入った子どもの着物 背守男児祝着 近代 福山市しんいち歴史民俗博物館蔵


子どもを天然痘から守ろうとした赤色の玩具 疱瘡除けの赤物 福山市松永はきもの資料館蔵