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広島文化賞受賞者に聞く 〜広島民俗学会(地域文化)

掲載日:2013年1月6日
昨年11月19日 鯉城会館(広島市中区)において「第33回 広島文化賞」の贈呈式が行われました。広島文化賞は優れた文化活動を行う個人・団体に贈られる賞です。そこで、個人の部受賞者のアーサー・ビナードさんと団体の部受賞の広島民俗学会さんにお話を伺い、今月の前半・後半の2回に分けて皆様にご紹介いたします。

まず前半は、団体の部受賞の広島民俗学会(本拠地:広島市)会長の三村泰臣さんのお話です。

◆広島文化賞の受賞 おめでとうございます。
ありがとうございます。昭和43年に活動を開始して以来、40年以上にわたる地道な活動を評価していただいとことを大変光栄に思っております。

◆日頃どのような活動をされているのですか?
毎年春の「現地研究会」と秋の「総会・研究会」を開催しております。現地研究会では、県内の民俗資料等の見学会を行なっています。昨年は塩原(庄原市東城町)の大山供養田植、本年は平清盛ゆかりの地の呉市音戸町に行き、街並を見学し音戸舟歌についても学びました。総会・研究会は会員による研究発表や特別講師を招待して講演やシンポジウムを開催しています。本年度は「広島の酒とくらし」についてシンポジウムをいたしました。これらの研究会の報告や会員の投稿等(論文・研究動向・文献紹介・「聞きとり」資料など)を掲載した会誌「広島民俗」を年2回発行しております。

◆その活動を通して感じたこと、伝えたいことがあればお聞かせください。
いうまでもなく民俗とは「人間が自然に手を加えることによって形成してきた物心両面の成果」です。人間と自然の絶妙なバランスの上に成り立ってきたこの民俗が今、瀕死の状態に陥っています。人間の力の方が自然を凌駕していることに気づかされました。かけがえのない民俗が保存・伝承されるためには、人間と自然のバランスが重要です。持続可能な未来は民俗を死守することにかかっていると痛感しています。

◆どなたでも会員になれるのですか?
先に申し上げた「民俗」に興味を持っておられる方、また人間と自然の在り方について思いを抱いておれる方ならどなたでも歓迎いたします。活字だけでなく、「あるく・みる・きく」ことを通して学びたいと思っておられる方々を歓迎いたします。ある程度の人生を歩き経験を積んでこられた方の入会が目立つようになりましたが、地域の未来を担う若い人こそ大歓迎です。

◆今後に向けてひと言いただけますか?
発会50年目を迎える頃は、国の姿も地域の姿も質的な変化が見えてくるようになるでしょう。私たち広島民俗学会が長年つちかってきた蓄積が見直されるようになればと思っております。またそうなるようにしっかり努力していきたいと思います。

ありがとうございました。
お話を伺い、民俗学は学問としてだけでなく、人が自然と共に在るための姿勢にも気づかせてくれる今後ますます必要になってくるものなのでは…と感じました。
ご興味のある方は是非、「広島民俗学会」のホームページからお問い合わせください。

総会・研究会


受賞者挨拶をされる会長の三村さん