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今井絵美子展―人は情の器物 江戸の世界

掲載日:2013年12月25日
 ふくやま文学館では、現在、「今井絵美子展―人は情の器物 江戸の世界」を開催しています。今井絵美子は、広島県福山市在住の小説家です。画廊経営やテレビ番組のプロデューサーを経て、執筆活動を開始しました。尾道の女流絵師・平田玉蘊(ぎょくうん)を描いた単行本『蘇鉄(そてつ)のひと 玉蘊』(2002年)を刊行して以来、もうすぐ50冊に達する時代小説を刊行しています。

 今回の展示は、まず、今井絵美子の人生のあゆみや、文学の師・三浦哲郎をはじめとする作家との交流を写真パネル・書簡・日記などで紹介した後、その作品世界を「瀬戸内を舞台とした作品」と「江戸を舞台とした作品」とに分けて、原稿・書籍・カバーイラスト原画などで紹介しています。特に、代表作といえる〈立場茶屋おりき〉は、元武家の娘が女将としてしなやかにたちまわる姿を描いた人気のシリーズで、2014年3月には、第17弾が刊行される予定となっています。作者の母親が投影されているというおりきの手厚いもてなしかたや、茶屋の板前・巳之吉(みのきち)の作る、おもいやりのこもった料理は、人情のあたたかさを感じさせられ、心なごむ作品です。「人は一人で生きているのではない、支え合って生きているのだ…。人は情(なさけ)の器物(うつわもの)…」と言う今井絵美子。

 本展では、江戸の人情の世界とともに、作品に登場する料理の、今井絵美子自身によるレシピも紹介しています。この冬、今井絵美子の世界で、ふんわりあたたかな気持ちにひたっていただきたいと思います。
(ふくやま文学館 学芸担当 小川由美)

 
■今井絵美子展―人は情の器物 江戸の世界
【会期】2013年12月20日(金)〜2014年3月9日(日)
【開館時間】9:30〜17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜日 ※ただし、12月23日(月)、1月2日(木)、1月3日(金)、1月13日(月)は開館、12月24日(火)、1月14日(火)は休館
年末年始休館日 12月28日(土)〜1月1日(水)
【場所】公益財団法人ふくやま芸術文化振興財団 ふくやま文学館(福山市丸之内1-9-9)
【観覧料】500円 20名以上の団体料金400円 (高校生までは無料)
【問合せ先】公益財団法人ふくやま芸術文化振興財団 ふくやま文学館084-932-7010

■今井絵美子50冊刊行記念サイン会
【日時】3月9日(日)13:30〜

今井絵美子展 展示室


今井絵美子が執筆の時に着るという「勝負服」


今井絵美子原稿「品の月 立場茶屋おりき」