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上下歴史研究会 ―上下町に残る江戸幕府直轄地の面影をたずねて―

掲載日:2022年2月1日
上下歴史研究会は、府中市上下町の歴史を総合的に研究し、併せて資料の蒐集、および聞き取りにより歴史の顕彰を図ることを目的として、平成24年に上下歴史文化資料館の研究会として16名で活動を始めました。
江戸時代、徳川幕府の直轄地として1700年に上下代官所が置かれ、その後、金融の町として栄えた上下の歴史を学ぼうと、先輩たちからの聞き取り調査や、上下町に残る史跡を辿るところから活動をスタートしました。現在は、収集できた上下の古文書を解読しながら、埋もれていきそうな郷土史の解明をしていこうと毎月活動しています。 
 
これまで上下の地域でさえ知られていなかった、代官所の日々を記録した古文書「永代録 二」が見つかり、その解読を研究会で取り組んだ結果、念願であった冊子を発行することができ、上下歴史研究会の取り組みの成果を発表することができたことは大きな喜びとなり、これからの学習の励みにもなりました。

この「永代録 二」は、幕末期に上下の商人であった重森六右衛門がその才能を認められ、上下代官所の手代となり日々の出来事や幕府から伝わる情報などを個人の記録として書き記したもので、当時の社会情勢や上下町内の庶民生活なども知ることができる貴重な資料です。「二」と書いてあるところから、数冊あったものと思われますが、現在もこれに関係する文書は見つかっておりません。
この資料をもとに、幕府直轄地の上下商人達の気構えや暮らしぶりが垣間見られ、当時の人々の姿を身近に感じることができました。 
上下町にはまだまだ「幕府領」であった証が数多く見られます。東照宮が置かれていたという玉泉寺には、災害により傷んだ東照宮を上下商人や役人が修繕をしたことを記した石碑があり、昨年、代官所の門を移築した建物だと伝わっていた長屋門の二階部分から上下の東照宮に関する文章を掘った板が見つかりました。
また、幕府の祈祷所だったと伝わる吉井寺には葵の紋のついた瓦なども保管されており、幕府領の面影は、影をひそめることなく私たちの前に姿を表し始めております。
上下町には、未だ埋もれている資料や古文書などもあるようですので、これからもコツコツと取り組みを続けながら、さらに深く学んでいきたいと思っております。  

●お問い合わせ先
TEL0847-62-3999(府中市上下歴史文化資料館)

上下代官所の門と伝わる旧角倉邸の内門(上)と上下歴史研究会の見学会(下)


上下町に祀られていた東照宮を修復したと書かれた石碑(左)と、昨年発見された同じ文書が彫られた板(右)


上下歴史研究会の学習風景と「永代録二」