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ふくやま草戸千軒ミュージアム「姫谷焼と福山藩内の近世陶磁器窯跡」

掲載日:2018年1月4日
 福山藩(おおむね現在の福山市と府中市)は、江戸時代、優れた陶磁器を生産する地域でした。
 その代表として、17世紀中葉から後葉にかけてのごく限られた時期に生産された色絵磁器(いろえじき)、姫谷焼(ひめたにやき)を挙げることができます。姫谷(福山市加茂町)の地は有田(ありた)(佐賀県)、九谷(くたに)(石川県)と共に日本で最初に色絵磁器を生産した場所の一つで、その華やかな色彩と素朴な図柄から、現在でも多くの愛好家に注目されています。この姫谷焼窯では、色絵磁器以外に青磁や染付、白磁、陶器を数多く焼いていました。
 
 また、19世紀になって、有田や瀬戸(愛知県)などで中心的に生産されていた陶磁器は、多くの藩で国産奨励策の一環として生産されるようになります。この時期、福山藩内では、洞山焼(どうせんやき)(府中市出口町)・木之庄焼(きのしょうやき)(福山市木之庄町)・岩谷焼(いわたにやき)(福山市引野町)・鞆皿山焼(ともさらやまやき)(福山市鞆町)など数多くの陶磁器窯が築かれ、鞆(福山市鞆町)の特産品である保命酒(ほうめいしゅ)の容器である徳利や日常雑器などが生産されました。
 
 この展示会では、現在に伝わる優品と共に、窯跡から出土、あるいは地表面で採集された資料を広く公開することによって、当時どのような陶磁器が生産され流通していたのかを探ります。
(ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)主任学芸員 尾崎光伸)

「姫谷焼と福山藩内の近世陶磁器窯跡」平成29年度 早春の展示
【会期】平成30年1月19日(金)〜3月11日(日)
【会場】ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)(福山市西町2-4-1)
【開館時間】9:00〜17:00(入館は16時30分まで)
【休館日】月曜日(2月12日は開館)、2月6日(火)〜9日(金)
【入館料】一般290円(220円) 大学生210円(160円) 高校生まで無料
※( )内は20名以上の団体
【問い合わせ先】ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)084-931-2513

姫谷焼 色絵飛雲飛雁楼閣山水文中皿 個人蔵 広島県重要文化財「姫谷焼 色絵皿」


洞山焼 染付皿 府中市教育委員会蔵


鞆皿山焼 徳利 広島県立歴史博物館蔵