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ふくやま草戸千軒ミュージアム「広島ものづくり―塩・備後表・備後絣・伝統的工芸品―」

掲載日:2018年5月1日
 広島県内では、地域の気候や風土に合ったものづくりが盛んに行われ、人々の生活の中で重要な役割を果たしてきました。熊野筆や備後絣など全国的に有名なものも少なくありません。
 今回の展示では、広島県立歴史博物館がこれまで調査研究を進めてきた塩・備後表・備後絣などを始め、県内における経済産業大臣指定伝統的工芸品や広島県指定伝統的工芸品などを通して、広島のものづくりの歴史と伝統を紹介します。

[塩]
 温暖で雨が少なく製塩にとって好条件である瀬戸内では、昔から盛んに製塩が行われていました。弥生時代に土器による製塩が始まり、その後、塩分が付着した砂を利用して濃い海水から塩を作る方法が普及しました。江戸時代に瀬戸内の各藩は、積極的に塩田開発を進め、塩の一大産地になりました。塩のコーナーでは、製塩土器、塩に関する文書や松永塩田に関する資料を通して、瀬戸内の塩づくりの歴史を紹介します。

[備後表]
 藺草(いぐさ)の利用が始まるのは、弥生時代にさかのぼります。この頃は、住居の敷物というよりも遺体や器物を包む材料として用いられていたと考えられています。鎌倉時代の絵巻物には、一部の邸宅に畳が敷きつめられていた様子が描かれ、畳が次第に建物の床材の一部として利用されてきたことが分かります。近世になると藺草の栽培法や備後表の品質の良さなどが文献に現れ、備後表は畳の有名ブランドとしての地位を確立していきます。藺草のコーナーでは、復元された古代の畳や畳に関する絵巻物や藺草製品を通して、備後表の歴史を紹介します。

[備後絣] 
 絣は文様を想定して染め分けた糸で織られる織物で、インドを発祥地としそれが日本に伝わったと考えられています。後に三大絣と呼ばれる久留米絣と伊予絣は18世紀末から19世紀初頭に始まり、福山藩内では嘉永(かえい)6年(1853)に備後絣が始まったとされています。絣のコーナーでは、三大絣の一つである備後絣の独特な文様や絵柄を紹介します。

 また、伝統的工芸品のコーナーでは、経済産業大臣と広島県の指定の伝統的工芸品を紹介します。
(ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)主任学芸員 山本智宏)

「広島ものづくり―塩・備後表・備後絣・伝統的工芸品―」平成30年度 春の展示
【会期】平成30年4月20日(金)〜6月3日(日)
【会場】ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)(福山市西町2-4-1)
【開館時間】9:00〜17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜日(4月30日は開館、5月1日〔火〕は臨時開館)
【入館料】一般290円(220円) 大学生210円(160円) 高校生まで無料
※( )内は20名以上の団体
【問い合わせ先】ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)084-931-2513

戸河内刳物


備後絣のテディベア


「広島ものづくり―塩・備後表・備後絣・伝統的工芸品―」ちらし