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広島文化新人賞受賞者に聞く 〜木村翔太さん

掲載日:2023年2月15日
第3回広島文化新人賞を受賞された木村翔太さん(広島市)です。

◆広島文化新人賞の受賞、おめでとうございます。
ありがとうございます。
個展やお誘いがあればグループ展にも積極的に参加し、作品発表の回数を増やして、多くの方に作品を見ていただきたいと思います。

◆木彫作品では「縄」を、絵画では「電柱」をモチーフに制作されておられますが、それぞれどのような思いで作品を作られていますか。
彫刻をやっていく上である時、形のない雲を表現しようと思いましたが、自分で形を考えるとどこか偽物のような感じがして、形を一から考えることに苦労しました。
そこである時、日本古来からある神社の「注連縄」を調べたところ、雲を縄に"見立て"て表現していたことに驚き、そこから雲の表現を縄のうねりや捻れから引っ張っていくことを考え付きました。
少しでも納得できる造形にするためのヒントとして縄を主題にしています。
電柱に関しては、また別の思いがあり、現代の日本の生活を支えている「都市の血管」ともいえる存在であるにも関わらず、景観を損なうという理由などから良くない物としてのレッテルを貼られていることに違和感を持ち始めました。電柱の無駄のない合理的なデザインなどを調べれば調べるほど、違和感は深い興味に変わっていきました。
一見すると「縄」も「電柱」も共通していないように見えますが、形を表現したいことや生活に密になって関わってきている存在という意味では非常に類似性が見てとれました。

◆東広島市を活動拠点とされていましたが、なぜ東広島市を活動拠点にされたのですか。活動拠点を広島市へ移行されるそうですが、広島ではどのような活動を企画されていますか。
知人の紹介で、東広島市にある物件をアトリエとして活用していたのがきっかけでした。
東広島市は交通の便もよく、制作する環境としては非常に立地が良いところです。多少の天候に左右されることもありましたが、広々として落ち着いた空間で制作活動を取り組めていました。
その後広島市へ移行し、広島市と東広島市の二拠点をうまく活用しています。例えば広島市内では絵画・陶芸制作をし、東広島市では彫刻制作をしております。
ゆくゆくは地域に貢献できるアートギャラリーを再度展開することを企画しております。

◆今後に向けてひと言お願いします。
芸術は多くの方に理解されにくい分野です。
作家として生計を立てるには並々ならぬ努力が必要とされており、前途多難ではありますが、得られるものもたくさんあると思います。
よく人に「芸術とは何ですか?」と聞かれることがありましたが、私はその度に「ギャンブル(賭け)です」と答えるようにしています。
人生を通じて苦楽を共にしながら当てていきたいです。

ありがとうございました。今後の、益々のご活躍をお祈りいたしております。

◆最後に、今後の予定を教えてください。
自分の希望としては、関西圏(主に京都)で個展をしたいです。年に数回は県外で個展を開催し、自分の発表の場を広げていきたいです。
小さな作品ではありますが依頼を定期的に受けております。

木村翔太さん


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