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継続が道をつくる〜書道家 貝原司研さんに聞く

掲載日:2012年3月1日
 広島県では、毎年、地域交流の推進や文化の振興等に功績があった個人や団体に広島県地域文化功労者表彰を行っています。今回は、今年度表彰された中から、広島県の書道文化に大きく貢献し、前衛書道家として現在も活躍中の貝原司研(かいはらしけん)さんにお話を伺いました。

■功労者表彰おめでとうございます。
 ありがとうございます。
 私はこれまで、作家が作品を見てもらう“展覧会”と、書道の普及を目指す“公募展”を大きな軸として活動してまいりました。継続は力なりと申しますが、引き続き力を尽くしたいですね。


■“公募展”について詳しく教えてください。
 私が主宰しています「進々書道会」では、県内に広く応募を呼びかける公募展を毎年開催しており、昨年は、第45回を迎えることができました。幼年から小中高校生、一般まで約2,700点の作品が寄せられ、その中から優秀な作品を表彰しています。すそ野を広げるうえでも、表彰することの意義は大変大きいと感じています。この公募展をきっかけとしたり、目標としたりして欲しいですね。
 また、長年続けていますので、この公募展で入賞した子ども達が大人になって、今では指導者として活躍しています。広島で腕を磨いた子ども達が、広島で次世代の腕を鍛えるという大変喜ばしい状況です。


■前衛書家としても第一線で活躍されていらっしゃいますね。
 制作は、文字を表現する場合と、文字ではないものを表現する場合があります。文字については、文字そのものに思いを巡らせますが、文字でない場合は、まず頭の中に表現したいイメージができあがります。そうすると、おのずと表現するための筆、墨、紙といった素材が決まります。紙に向かい、筆を走らせたものがイメージと違うと、筆を変えてみる。いずれにしても一気呵成に作品を仕上げます。その繰り返しが今に続いているのです。

■書を楽しむポイントは。
 書と言っても様々なものがあります。傾向別にしますと、漢字、仮名、前衛、篆刻、刻字、少字数や近代詩文書などなど。それぞれの違いを楽しむのも良いかもしれません。難しく考えず、まずは体験してみることが面白さと出会える第一歩でしょうか。最近はパフォーマンスを取り入れたものもありますし、書は本当に自由ですね。


 ありがとうございました。奥深い書の世界も、思い切って飛び込んでみることが大事なのかもしれません。
 毎年主催する『現代総合書展』は、今年で49回目。5月10日(木)から13日(日)まで広島県民文化センター展示室(広島市中区)で開催するための準備が着々と進められているとのこと。弟子、孫弟子に囲まれ、ますます指導に熱が入るご様子。“次世代”への期待は大きいようです。さらなるご活躍を祈念しております。

アトリエにて





『噴火のイメージ』