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上下歴史研究会

掲載日:2017年2月28日
上下歴史研究会は、府中市上下町の歴史を総合的に研究し、併せて資料の蒐集、および聞き取りにより歴史の顕彰を図ることを目的として、平成24年12月5日に発足しました。会員は、上下町史編纂委員や文化財保護委員、古文書の会の方たちを含む16名で、発足時から活発な活動が続いています。

上下町は、古くはスサノオ伝説や弘法大師伝説が残り、1700年には徳川幕府の直轄地となり、1717年からは石見銀山大森代官所の出張り陣屋になったのちも、幕府を後ろ盾とした金融業で栄えた、という興味深い歴史を持った町で、この歴史の一片を紐解いていくという楽しさを、研究会の活動をとおして存分に味わっているところです。
また、上下町の子どもたちとの「天領上下の歴史探索」や、上下中学校や上下高校の生徒たちとの学習会などへの参加、江戸時代の地図を使った町並み探索、石州街道の道しるべ探索などのフィールドワークを行い、残された資料などの検証や、これまで研究してきた成果を歴史文化講座などとして開催し、地域の知的財産を高めると同時に、次世代への継承もしていきたいと考えています。

研究会はこれまでに、幕領時代の上下代官所やその掛屋の資料、広島藩の資料、石見銀山大森代官所や山口県の博物館を訪ねるなどの研修を重ねてきましたが、平成26年に、町人から上下代官所の役人となった重森六右衛門の書いた「永代録」という文書を見つけ、その研究と翻刻を行ってきました。このたび、この文書を一冊の研究誌としてまとめることができました。
この研究誌「重森六右衛門文書『永代録』」は、上下商人や上下代官所の日々の生活、また、徳川幕府の大きな転換期となった長州戦争の様子や揺らぎはじめた幕府の情勢などが日を追って刻々と綴られており、この文書を翻刻や研究をする事で、これまで知られていなかった江戸時代末期の上下がよみがえることになりました。『永代録』の発行を期に、天領上下の歴史に興味を持ち上下町を訪れてくださる方も多く、これからの活動の力となっています。

これからも、地道な活動・研究をつづけながら、上下町に潜んでいる歴史をじっくりと学び、現在残っている白壁の町並みとともに、上下のまちづくりにも活かしていければと願っています。

【問い合わせ先】
上下歴史研究会(府中市上下歴史文化資料館内)
TEL:0847-62-3999