レコードコンサート L.v.ベートーヴェン(1770〜1827)の遺した作品の中から
―「クロイツェル ソナタ」の全3楽章を聴く―
曲&解説/中畝みのり
(ヴァイオリニスト、広島修道大学・広島文化学園大学非常勤講師)
18世紀から19世紀にかけて、芸術の都は政治的権力とともにイタリアからウィーンに移行しました。モーツァルト亡き後、ベートーヴェンはその地の寵児として市民に受け入れられ、正真正銘の芸術家として定着したのです。深刻な反面、ユーモアでかわしたり、不滅の恋人を逃さず射止める、という弁証法的人生は最早、超人と言えます。
40年程前、私の演奏したクロイツェルソナタが鬱で気分の塞がっていた人の心を甦らせたことがありました。その方の知性と感受性がベートーヴェンの芸術性と一致したのでしょうか。
この曲の持つ魅力を探ってみましょう。 |