レコードコンサート「雅楽・宇宙との対話」
■選曲&解説/三浦 進(雅楽演奏家)
今年五月、とてもホットな話題が世界中を驚かせました。ソユーズ宇宙船船長の若田光一さんが、なんと国際宇宙センター(ISS)の船内で雅楽の楽器である笙(しょう)を演奏され、しかも地上で待ち構える演奏者たちとの管絃演奏コラボまで実現したのです。若田さんは、アメリカのあるバイオリニストの紹介で一年前に笙を手に入れ、密かに練習をされていたそうです。
笙という楽器は正式には鳳笙(ほうしょう)と呼び、その形状は天上を飛ぶ想像上の鳥、鳳凰(ほうおう)が羽根を閉じた姿を模したもの、雅楽では天上の音を表わす楽器と言われています。それもちゃんと分かって演奏されたのですね。本当にびっくりです。
雅楽はもともと、楽器構成、音響、音楽性、舞台まで含めて古代中国の宇宙観を濃厚に引きずった独特の音楽芸術で、宇宙との縁は大変深いのです。今回はそんな視点から、楽しい話題とともに古くて新しい雅楽の世界を覗いてみたいと思います。 |