 ８月 サウンド・アンド・サイレント「花の奇蹟」「黎け行く村」「小羊」
「花の奇蹟」
コメディア・デラルテのキャラクターによるパントマイム劇。コロンビーヌに恋するピエロは、愛の証に彼女に花束を捧げるが、ピエロの恋敵がコロンビーヌを誘惑し…。画面のそれぞれの部分を色分けした彩色の映像が美しい作品。
「黎け行く村」
広島市出身で、ハリウッド流の撮影技術を日本にもたらした映画人の一人であるヘンリー小谷の監督作品。農村の振興と兄妹愛をからめた物語で、夜のシーンが青色で描写されるなど、染色の画面をとどめたフィルム。岡山のフィルムコレクター、故松田完一氏の旧蔵フィルムから、東京国立近代美術館フィルムセンター、現在の国立映画アーカイブが2005年に復元した作品。
「小羊」
新派の奥役(舞台監督)から映画に転じ、主に草創期の松竹で活躍した賀古残夢監督の現存する数少ない作品の一つ。大学生と女優、牧場の娘の３人をめぐる恋模様を描くメロドラマ。女優の錦子への恋に破れた大学生の利彦は、漂泊の旅に出る。北海道に渡った利彦は、牧場の娘、お豊に出会い、２人の間に恋が芽生えるが…。『黎け行く村』と同様、染色の画面が印象に残る作品。 |
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