雅楽の「ここ」を聴いて下さい Ver.4〜雅楽における「歌」の世界〜
雅楽といえば、笙、ひちりき、優雅な管絃の演奏や、広島なら厳島の高舞台での舞楽などを思い浮かべられると思いますが、これと並んでもう一つ重要なジャンルに「歌物」があります。平安時代に流行った催馬楽(さいばら)や朗詠のほかに、記紀などに出てくる古代歌謡を歌った「大歌(おおうた)」「久米歌」「大和歌」「東遊(あずまあそび)」、ヤマトタケル薨去(こうきょ)に際して歌われたという「誄歌(るいか)」、更には宮中の秘儀として伝えられている「神楽歌」など、その内容は多彩です。
今年三月、一代の名手と謳われた恩師・東儀兼彦先生がご逝去されましたが、実は昨年春、宮内庁を退官された先生に是非広島に来て頂きたいと、丁度いい企画があったのでお願いしたところ、二つ返事で快諾して下さり、今考えれば今後もう二度とお目にかかれないであろう、とんでもない演奏会が実現したのです。宮中以外のホールで披露されたのは長い歴史のなかでたった二回だけという「神楽歌」の演奏会です。この時の貴重な記録をご披露させて頂きます。あわせて様々な「歌物」を、出来れば生の声も交えてご紹介したいと思います。 |