所蔵品展4 池田栄廣・琳子二人展
池田栄廣は、1901(明治34)年に呉市広中新開に生まれました。大分県に移住後、運転手として働くかたわら日本画を描いていましたが、本格的に絵を学ぶため京都に出て、堂本印象の画塾、東丘社に入門しました。26歳の頃、犬をモチーフにした作品で帝展に初入選します。
しかしその後、改組問題で揺れる画壇を背景に、栄廣自身も制作における模索期を迎え、1941(昭和16)年に東丘社を退塾。代わって院展で活躍していた日本画家、安田靫彦に師事します。1942(昭和17)年に41歳で院展に初入選し、以降、90歳で亡くなるまでほぼ毎年院展に出品し続けました。
栄廣は1940(昭和15)年、小学校教諭をしていた琳子と結婚します。琳子は栄廣の日本画制作を手伝いながら、自らも日本画家の小倉遊亀のもとで日本画を学び、温かなまなざしで、仲良く遊ぶ子どもたちの姿を描きました。
本展では、池田栄廣が得意とした愛らしい動物をはじめ、働く姿への敬意と美しさを表現した人物画や、琳子が描いた、子どもたちの賑やかな声が聞こえてくるような生き生きとした様子が伝わる作品を展示します。 |