半世紀のニューヨーク 野田正明のせかい〜過去、現在、未来〜
福山市新市町出身の野田正明は、1977年にニューヨークへ渡り版画家として活動を始める。ニューヨークへ拠点を移したことで、これまでの価値観、既成概念なども何もかもがガラリと変わったという。「人種の坩堝の多様社会の中、固定観念が何度も覆させられた。だからあえて、持たないことにした。」と笑いながら語る。その意思の表れか作品もキャンバスも超え、表現の可能性に向かって。ステンレスやガラス彫刻は、細微に至るまで技術を駆使し展開させ、さらに都市空間まで構想を練り上げてしまう。一人の美術家とは思えないその姿が人々を魅了し続けているのかもしれない。
ニューヨークから世界へ向けて可能な限りアート表現を試みてきた野田正明の原点は渡米前から既に始まっていたのだろう。世界中から芸術家が集まるニューヨークは鎬を削る厳しい世界。作品と対峙し極限まで突き詰める姿勢はまさに美しいと表現するのがふさわしいのかもしれない。現代アーチストとしての地位を確立し続けている野田正明は、幾多の挫折や失敗を繰り返したのだろうか。
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