未知なる世界への憧れと挑戦〜大航海時代から伊能忠敬,ペリーまで〜守屋壽コレクションの粋
掲載日:2014年5月1日
ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)では、現在、企画展「未知なる世界への憧れと挑戦〜大航海時代から伊能忠敬,ペリーまで〜 守屋壽コレクションの粋(すい)」を福山市鞆の浦歴史民俗資料館と同時開催で行っています。同展示では、今年2月に博物館に寄託を受けた日本と西洋の古地図を中心とする貴重なコレクションの紹介をしています。今回は、展示資料の中から2点をご紹介します。
1点目は、ラングレン作の「東アジア図」です(写真1)。この地図は、オランダで1596年に刊行された『東方案内記』に収録されていました。一見どこの地図かわかりませんが、上が東で、北は左方向ですので、横にしてみると東アジアの図となり、中国からインドネシアあたりまで描かれた地図ということが分かります。この地図の北東の隅(図の左上)にある赤くエビの形をした地形が日本列島で、当時のヨーロッパの人びとに知られていた西日本の情報(九州、四国、本州の紀伊半島から西)が詳しい一方で、東日本についてはほとんど描かれていません。また、瀬戸内海の港町の地名は詳しく書かれており、その中に鞆の浦や蒲刈の地名があります。これは、刊行された西洋の地図に鞆の浦や蒲刈が記載された初例です。
2点目は、「厳島図屏風」です(写真2)。人々の服装や髪形などから、江戸時代の初め頃の様子を描いていることが分かります。参詣する多くの人々で賑わっていますが、特に厳島神社の本殿の山側には、南蛮人とみられる一行が描かれていることが注目されます。安土桃山時代に書かれたポルトガルの宣教師の記録によると、九州から京都に行く途中、宮島に寄ったという記述があります。江戸時代の初めまではこのような光景も珍しくなかったのでしょう。そして南蛮人の姿は、鞆の浦などの港町でも見られたと考えられます。
その他、行基図屏風やオルテリウス「世界図」など、貴重な古地図を多数展示しておりますので、ぜひご来館ください。
(ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)
主任学芸員 久下実)
◆会期/4月24日(木)〜6月8日(日)9:00-17:00
◆休館日/月曜日(祝休日は開館します)
◆会場/ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)(福山市西町2丁目4−1)
◆入場料
一般700円(560円) 高・大学生520円(410円) 小、中学生350円(280円)
※( )内は前売り特別入館券及び20名以上の団体
◆問い合わせ先
ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)
084−931−2513
◆関連イベントはこちら→「未知なる世界への憧れと挑戦〜大航海時代から伊能忠敬、ペリーまで〜守屋壽コレクションの粋」関連行事 |
企画展チラシ
写真1 ラングレン「東アジア図」
写真2 「厳島図屏風」
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