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「かぐわしき日本の香り−香の歴史と美−」

掲載日:2014年10月1日
開館35周年記念 平成26年度秋の特別企画展
かぐわしき日本の香り−香の歴史と美− 開催

日本は今、香りで溢れている
 今、日本では、防臭や芳香に対する人々の関心が高まっています。
 たとえば、玄関や台所・トイレや居間・自家用車の車内などの芳香剤や消臭剤。また、炊事・洗濯・入浴などに関わる洗剤・柔軟剤・シャンプー・トリートメント・入浴剤。さらに体の汗や体臭などに関わる香水や制汗剤等々。テレビのCMを見ても、薬局やスーパーなどの売り場に行っても、イヤな臭いを取り除き良い香りのする商品で溢れています。
 街に溢れるそうした商品の香り、そのほとんどは西洋の香水を基にした西洋の香りですが、でも、そんな西洋の香りを輸入しなくても、日本には古くから和の香りの文化がありました。

アジアで生まれ、日本で育った和の香り
 ≪和の香り≫、それは「香」と呼ばれる、中国やインド・東南アジアを中心に産出される香木や、天然香料を練り上げた練香などの香りを楽しむ文化です。
 香は、仏教では不浄を払い仏前を清めるために用いられ、日本には奈良時代以前に仏教とともに中国からもたらされました。また、心身の浄化やリラックスをはじめ健胃・強壮・利尿・解毒に効用があるとされ、薬用としても用いられてきました。
 平安時代になると、香料を組み合わせ、特有の香気を作り出して楽しむ「薫物」が貴族の間で盛んになりました。
 武士の時代となった鎌倉時代には香木の香りを鑑賞する「聞香」が確立され、続く室町時代になると茶の湯や立花と同様に「香道」の様式が整い始めるとともに、複数の香木を和歌や物語などのテーマによって組み合わせ、それを聞き分ける「組香」の原型が作られ、香の寄合が盛んになります。さらに江戸時代には、経済力を持った町人にも広まり、様々な「組香」の考案や香道具の製作が隆盛を迎え、「香道」が確立されていきました。

「香」を再認識してみませんか
 「香」の歴史を見てみると、部屋や衣類の匂い・体臭などに気を遣い、様々な香りを利用する現代人のルーツは、日本人の伝統的な生活文化の中に求められるのかも知れません。
 今回の展覧会は、日本人によって長い時間をかけて育み、受け継がれ、日本独自の生活文化として芸術にまで高められた香と香道の歴史と美を、香道具をはじめとする伝世の美術品・工芸品等を通してご紹介します。
 また、期間中、香席や茶席、香の香り体験などたくさんの関連行事を設けておりますので、この機会に体験され、日本独自の「香」の文化を再認識してみてください。


◆秋の特別企画展『かぐわしき日本の香り−香の歴史と美−』
【会場】みよし風土記の丘ミュージアム(三次市小田幸町122)
【会期】10月3日(金)〜11月24日(月祝)
【時間】9:00〜17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜日(ただし10月13日、11月3日・24日は開館)
【料金】一般500円(400円) 高・大学生380円(300円) 小・中学生250円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金
※上記の料金で、常設展もご覧いただけます

【申込・問い合わせ先】
〒729-6216 三次市小田幸町122
みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)
0824-66-2881
E-mail:rmssoumu@pref.hiroshima.lg.jp

三頭藤巴紋宝相華十種香箱:何種類かのお香を聞き当てる「組香」の道具を入れる十種香箱。江戸時代の作で、総金漆。巴形をした藤の花の模様が描かれている。香道具は日本の工芸の集大成で、美術品としても価値が高い。


組香寄合図(江戸時代):女性たちが集まって組香を楽しんでいる場面を描いた図で、菱川師宣の作と伝えられている。


特別企画展チラシ