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ブンカッキーが行く「榮久庵憲司の世界展」

掲載日:2014年12月1日
 肌寒くなってきた今日この頃、ボクは広島県立美術館(広島市中区)で開催されている「広島が生んだデザイン界の巨匠 榮久庵憲司(えくあんけんじ)の世界展」に行ってきたよ!榮久庵憲司さんを、みんな知ってるかな?日本にインダストリアル・デザイン(工業デザイン)という概念を切り拓いた人なんだよ。

 原爆で妹さんを、原爆症でお父さんを亡くされた、榮久庵さん。悲しみの中、日本を救うには、ものをつくることが大事だと、ものをつくる気持ちが沸き起こったんだって。東京芸術大学入学、アメリカへの留学を経て、GKインダストリアルデザイン研究所を設立され、日本人の美意識にマッチしたデザインを追求しながら、産業社会の発展をデザイン界から切り拓いたんだ。その活動は日本だけでなく、アジアで初めて国際インダストリアルデザイン団体協議会会長に就任されるなど、世界のデザイン振興に大きく貢献されているんだ。なんと、今年にはデザイン界のノーベル賞ともいわれるコンパッソ・ドーロ国際貢献賞を受賞されたすごい人なんだ。

 会場に入って目に飛び込んできたのは、しょうゆ卓上びん!まさか、こんなものまで、榮久庵さんのデザインだったなんて!!なんでも、中身が見えるガラス素材とカラフルなキャップがかわいい・・・だけでなく、びんを持ち上げた時に自然と小指が離れて使う姿が美しく見えるよう工夫されているんだって。これで誰でも大和撫子だね。その他にも、インスタントコーヒーや、みんなの足でもある「アストラムライン」などなど、いつも何気なく目にしているものが勢ぞろい。あれも?これも?って驚きながら見入っちゃった!

 その他、東日本大震災の被災地でも実際に使用された災害支援空間システムや、博覧会で展示されるハイテク・オブジェなどなどの展示を直に見ることができたよ。榮久庵さん率いるデザイナー集団「GKグループ」によって、生み出される創造の数々は「運動・事業・学問」を連環させるシステムを基本としているんだって。一歩足を踏み入れると、そこはなんだが、近未来の世界!!

 展示ももう終わりと思ったら、なんと一面の蓮と観音様がボクを迎えてくれたよ!!鳥のさえずりも聞こえてくる・・・。榮久庵さんは実は、浄土宗僧侶でもあるんだ。「道具」が「道の具え」「道の具わりたるもの」という本来の姿を取り戻せるよう、「道」の東洋的思想と現代社会におけるデザインの「美」との融合を目指しているんだって。「人」と「道具」の正しい関係を築き上げることが理想であり、目標でもある。奥が深すぎて、おぼれそう。そういえば、おばあちゃんが針供養してたなぁ・・・。

 原爆投下を受けた広島で、「無」から「有」を求めた榮久庵さんのものづくりの全て。ぜひ、自分の目でみて、感じて欲しいな!

「広島が生んだデザイン界の巨匠 榮久庵憲司の世界展」
会場:広島県立美術館(広島市中区上幟町2−22)
開催期間:2014年11月18日(火)−12月23日(火・祝)
開館時間:9:00−17:00(金曜日は19:00まで会館、入場は閉館の30分前まで)
入館料:一般1200円(1000円)、高・大学生900円(700円)、中学生以下無料
※( )内は前売・20名以上の団体料金
※学生券をお求めの際は学生証のご掲示をお願いします。
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障碍者保健福祉手帳及び戦傷病者手帳の所持者と介助者(1名まで)の当日料金は半額です。
お問合せ先:広島県立美術館082−221−6246

しょうゆ卓上びん


会場


アストラムライン模型