「わたくし美術館」〜商店街とアートの出会い〜 掲載日:2008年10月1日
10月16日〜30日に呉市の中心街で開催される「わたくし美術館」は、商店街の各店舗がギャラリーに様変わりし、アート作品と商品が共存しあう不思議な空間となります。アートをわたくしなりに展示することが「わたくし美術館」の始まりであり、その内容は絵画・陶芸・手芸などジャンルも様々。出品者もプロから愛好家まで幅広く、色とりどりな作品が展示されます。今回はわたくし美術館実行委員会委員長の河野満子さんにお話をお伺いしました。
■商店街にアート作品を展示しよう(美術館にしよう)と思われたきっかけは?
シャッターの下りた店舗が増える商店街をこのままにしてはおけないと、呉市出身の画家でエッセイストだった故宮迫千鶴さんにアドバイスをいただき、平成8年に伊豆高原アートフェスティバルを訪れました。このフェスティバルは新緑の美しい季節に開催され、作品も多くとても見応えがありました。ただ、いろいろな作品を見て回るためにはどうしても車が必要で、徒歩ではとても苦労しました。そこで、軒を連ねる商店街なら、一日で十分見て回われるのではないだろうか、好きなものをタッタッタっと見たり、のんびり眺めたりと、商店街ならではの楽しみ方ができるのではないかと思ったことがきっかけです。また、平成16年に呉駅周辺にショッピングモールができたことで、さらに『商店街ならでは』を意識するようになりました。それが、季節を感じながらの散策であったり、専門店ならではの接客であったりと、アートを通して商店街の魅力を発揮していこうと「わたくし美術館」が本格的に始動しました。
■反応はどうですか?
知り合いが出品するということで、再び商店街に来るきっかけができたという話を聞きました。また、普段利用しない店舗に作品を見るために足を運ぶと、店舗の中で意外な発見をされるそうです。店舗でも、展示される作家さんの作品に興味を持つし、愛着も湧きます。そうすると作品の展示解説にも熱が入る。「いつもの店員さん」のイメージも変わるみたいです。ちょっとしたきっかけが、大きなイメージの変化をもたらしているのではないでしょうか。
一方、出品される方はプロからアマチュアまでさまざまですが、展示条件は同じです。プロにとっては、作品が商品と並ぶことは普段では考えられないことですが、ご理解いただき、ご協力いただいております。アマチュアにとっては、展示を意識することで制作にも気合がはいります。鑑賞される方もお気に入りの作家さんや知り合いの作品を目当てに来られるのですが、すぐそばの予期していなかった別の作品も目に入る。店舗、出品者、見学者それぞれにとって刺激があり、また新たな出会いがあるようです。物を売り買いするだけではないアートを通じて新たな結びつきができているのではないでしょうか。
■今年はどのような展示がありますか?
今年は72店舗が参加します。アーティストは約100人。この他に、子どもの作品もあります。「この作家さん」は「この店舗」と恒例となっている所もありますし、作家さんが希望する店舗でやっと展示が実現するというのもあります。また、今年は初めて学生さんが参加します。広島国際大学の呉写真部による写真と動画による展示です。これまでは中高年の方が多く訪れてくださっていますが、今年はぜひ20代の若い方にも訪れていただきたいと思っています。
また、展示だけでなく、定休日の火曜日を除くすべての日で体験教室を開催します。いつ来られても楽しんでいただけます。
■わたくし美術館の今後の展開について教えてください。
来てくださる方に楽しんでいただける作品を展示したい。ときには、出品の依頼のため足を運ぶこともあります。わたくし美術館を楽しみにして下さっている方がおられる限りがんばろうと思っています。また、今後は若い方にもご参加いただいて、これまでとは一味違う「わたくし美術館」を展開してみたいと思っています。型にはまった美術館でないからこそできる作品展を今後も続けていきたいです。現在、今年の開催に向けて準備の最中ですが、来年は広島市の大学の学生さんにも参加を呼びかけていこうと思っています。商店街ならではの作品展がより魅力的にレベルアップできたらと願っています。
ありがとうございました。今年も多くの方が訪れることを期待しております。
詳細→わたくし美術2008 |
パンフレットをチェックする河野さん
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