この度、しぶや美術館（福山市）では備後在住の美術収集家Ｍ氏のご協力を得、その所蔵品の一部を公開中です。
昨年度開館20周年を迎えた同美術館は、創設者・澁谷昇が収集した作品を軸として誕生しました。Ｍ氏と澁谷昇、同じ備後で地元と芸術を愛し、支援を惜しまないその姿には通ずるものがあります。このご縁を機に、この度の展覧会開催の運びとなりました。
今回は、野田弘志、土屋文明、高田三徳ら備後出身の作家のほか、棟方志功、鴨居玲、小磯良平、池田満寿夫など23人の芸術家による作品50点をお借りし、展示しております。個人所蔵のため、一般公開される機会の少ない貴重な逸品ばかりです。
Ｍ氏独自の感性・視点によって選び抜かれたコレクションの数々は、膨大かつ多岐にわたります。作品の傾向は多種多様で、例えば野田弘志や土屋文明の作品は、写真かと見違えるような細密描写に徹底したリアリズムであり、高田三徳の作品は、色とりどりの幾何学模様で構成された抽象であり、小磯良平や香月泰男の繊細なデッサンに、棟方志功や須田剋太の野趣にあふれるダイナミズム、等々、個々の作品に共通点を見出すのは困難に思えます。
しかし、一堂に並べてみると、根底に貫かれた基準のようなものが見えてくるように感じられます。それがどんな基準なのか推測してみたり、「もし私ならどんな作品を集めるだろうか」と思い描いたりするのも一興です。あるコレクターによって集められた作品を通じ、コレクターの“眼”を疑似体験することで、芸術を見る際の視点に新たな発想をもたらすきっかけとしていただけたらと思います。
■コレクターＭの眼
【期間】2015年1月8日(木)〜3月22日(日)
【会場】公益財団法人しぶや美術館（福山市本町8-27）
【開館時間】9：30-17：00（入館は16：30まで）
※金曜日は14:00閉館、最終日は15：00閉館
【休館日】毎週月・火曜日
【入館料】高校生以上300（200）円、中学生以下無料
※（ ）内は前売または20名以上の団体料金
※土曜日は高校生入館無料
【問い合わせ先】
公益財団法人しぶや美術館０８４−９２５−２１１３ |
野田弘志≪葡萄�窟�
棟方志功≪ダンテルの渚≫/堀口大學詩集『ヴェニュス生誕』別冊画譜より
小磯良平≪婦人≫
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