尾道市東久保町にある浄土寺は、616年の聖徳太子開創と伝わる西日本を代表する古刹です。今回の展示は、浄土寺に伝わる寺宝の数々を紹介し、瀬戸内に展開した仏教文化の粋を御覧いただきます。
第1章 浄土寺の歴史
浄土寺は、616年、聖徳太子の開創と伝えられます。鎌倉時代になって、西大寺流律宗の祖、叡尊(えいそん)の弟子の定証が荒廃した浄土寺を、尾道の有力者たちの懇願により再興しました。伽藍(がらん)も数年後に火災で焼失しますが、港町尾道の財力を背景に再建されました。この章では、浄土寺の歴史を概観します。
第2章 浄土寺を彩る人々
鎌倉時代末〜南北朝時代の動乱期に、後醍醐天皇や足利尊氏など歴史上の人物とも深く関わりました。この章では、歴史上著名な人々が浄土寺に寄せた信仰を紹介します。
第3章 浄土寺と尾道
瀬戸内の港町として繁栄した尾道は、その経済力を背景として、様々な文化が花開いた町でもありました。尾道を代表する寺院である浄土寺には古典文学や茶道などの文化の精華が寄せられました。この章では、尾道の文化と浄土寺について紹介します。
第4章 祈りの美とかたち
浄土寺には、観音信仰や聖徳太子信仰など、尾道の人々の信仰を示す仏教彫刻や絵画が多く残されており、人々の寄せた思いが形として伝わっています。この章では、浄土寺に残された仏教美術から人々の祈りと美のかたちを紹介します。
終章 未来につながる海
浄土寺をこれまで支えてきた尾道は、港町として栄えた歴史を踏まえて、海事都市としてさらなる発展を目指しています。現在、海事都市尾道推進協議会が中心となって進められている取り組みを紹介します。
(ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)主任学芸員 岡野将士)
『尾道・浄土寺の寺宝展−瀬戸内の精華−』
【会期】4月24日(金)〜6月7日(日)
【会場】ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)(福山市西町2-4-1)
【時間】9:00〜17:00(ただし入館は16:30まで。初日は10:00から開館)
【休館日】月曜日(5月4日(月・祝)は開館)
【料金】一般800円(640円)、大学生・高校生600円(480円)、小・中学生400円(320円)
*( )内は前売特別入館券及び20名以上の団体、浄土寺の拝観権またはおのみち歴史博物館の入館券の半券を提示された方
【問い合わせ先】ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館) 084-931-2513 |
写真の木造聖徳太子立像(南無太子像) 重要文化財 聖徳太子2歳の姿をあらわした像
絹本著色尊氏将軍画像 室町時代 尾道市重要文化財 室町幕府を開いた足利尊氏の肖像画
絹本著色 両界曼荼羅図 文保2年(1318) 重要文化財 密教の世界を表現した仏教絵画
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