今回は第5回広島文化賞新人賞受賞者で小説家の小山田浩子さんをご紹介します。
小山田浩子さんは2014年、小説「穴」で広島出身者として初めて芥川賞を受賞なさいました。公益財団法人ひろしま文化振興財団は、小山田浩子さんの今後のご活躍を期待し、奨励するために「広島文化賞新人賞」を贈呈しました。
◆広島文化賞新人賞の受賞、おめでとうございます。小山田さんにとって小説との出会いについて教えてください。
ありがとうございます。年上のいとこたちからおさがりや両親が買ってくれた本を子供の頃から読んでいたのが小説との出会いだったと思います。
最初は絵本や児童書を読んでいて、小学校の高学年くらいで自然に大人が読むような小説を読み始めました。『吾輩は猫である』が特に印象的で、文豪と呼ばれるような人の作品がこんなに面白いのかと驚いたのを覚えています。
友達があまりいないような子供だったので、本はいつもそばにある対話の相手でした。小説に向かって自問自答していたような子供時代から思春期にかけてが、今小説を書いている私の土壌になっているのだと思います。
◆小説を書こうと思われた動機や、小説「穴」を執筆されていた時のエピソードなどをお聞かせください。
小説を書こうと思った動機は、当時職場の先輩だった夫に、仕事で書いた文章の無駄を指摘され、「こういう文章を書きたいなら小説でも書いたら」と言われたのがきっかけです。
その時は「きっと小説が書ける」と褒められたのだと思っていたのですが、あとから聞いてみると夫は皮肉のつもりだったようです。それでも私がその気になったきっかけであるのは間違いないので、今でも感謝しています。
「穴」を書いているときは妊娠中で体がしんどく、期日までに書きあげるためへとへとになったのを覚えています。
仕上げたのが夏だったのですが、近所にゴーヤなどのつるでグリーンカーテンを作っている家が多く、猛暑の蝉の声の中、町の家々がうっそうとして見えた感覚が作中に出ているかと思います。
◆これから小説を書いてみたい方にアドバイスをお願いします。
私も日々手探りで書いているので、人様にお伝えして役立ててもらえるようなアドバイスというのは難しいのですが・・・
自分が書いたものを他人が書いたものとして読み、欠点があれば直す、というのが大切なことではないかと思います。
時間の許す限り何度でも読み返して、時には音読をして、時には数日放置して忘れた頃に読み返して、そうやって彫琢する努力を惜しまないことは重要だなと自分自身痛感しています。
◆最後に、小山田さんを応援しているファンの方へメッセージをお願いします。
自分が書いたものを多くの方が読んでくださっているということがいまだに信じられないような気がします。面白く読んでいただければそれに勝る喜びはありません。
今後も努力してまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
小山田さん、ありがとうございました。
今後ますますのご活躍をお祈りしています。 |
小説家 小山田浩子さん
平成26年度広島文化賞・広島文化賞新人賞贈呈式集合写真
森信理事長から賞状を授与される小山田さん
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