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レポート―大崎上島町 句会ライブ

掲載日:2008年12月1日
 今年度の文化庁が主催する「言葉」について考える体験事業の一つが、瀬戸内海・芸予諸島のほぼ中央にある大崎上島町で開催されました。
 「言葉」について考える体験事業とは、演劇、落語、詩、和歌など各界の第一線で活躍されている方々を講師に迎え、言葉への関心を高め、表現することの楽しさを知ってもらうというものです。
 大崎上島町では、町内の中学校が毎月俳句コンクールを行うなど、俳句が盛んなことから、「俳句」による体験事業を計画しました。そして、11月3日に大崎上島開発総合センターで『句会ライブ』が開催されました。
 講師は、俳句講座を全国で行っている夏井いつきさん。参加者は小・中・高校生から一般の方まで幅広く、俳句の初心者から俳句愛好家といったベテランまで様々です。夏井さんのサポーターとして俳句のイメージにあわせて絵を描くイラストレーターのキムチャンヒさんと、曲を演奏する鈴木さんの3名で句会ライブはスタートしました。
 まずは、夏井さんから俳句作りの極意が伝授されました。俳句は5・7・5ととても短い定型詩で、さらにその中に季語を入れるのだから俳句はすぐに作ることができるとのこと。5にあたる部分を季語と決め、残りの7+5の12語は、「自慢できること」や「失敗したこと」などの出来事や想いをもとに作ります。12語でつくった言葉に、季語の「秋晴れや」「そぞろ寒」「いわし雲」からぴったりくるものを選ぶと俳句が出来上がるというわけです。これは「取り合わせ」という技法だそうです。説明を受けた後、早速参加者全員で「取り合わせ」を用いて5分間で俳句を一句つくりました。
 提出のあった句から講師が十数句選び、講評を交えながら披露。さらに上位10句は、大きく正面に貼り出され、その中から今度は参加者がこれぞと思う作品を選び出しました。この句のここがいい、あの句のあそこがいいと様々な意見がでてきます。ある方の一言が会場中をうならせ一気に句の評価を高める場面もありました。他の人の感想を聞くことで自分では感じていなかった句を別の視点でつかむこともできたようです。最終的に全員の挙手により上位3句が決まりました。最もよい句として選ばれたのは、『秋晴れや 僕の年齢15です』。これは参加者から「15歳というのはかつての元服の年齢で、成人の歳。その意味を思えばとても素晴らしい!!」と大絶賛。わずか17文字に込められたすがすがしさ、そしてこれからの人生。15歳の作者の希望あふれる思いを皆が感じ取ったのではないでしょうか。
 次は、作者の紹介です。一人ずつ前に出て、講師のインタビューにより、どのような思いで句を作ったのか披露してもらいました。まずは、この人が作者だったのかと驚き、作者の思いとイメージした思いとの違いに驚き、会場が大いににぎわいました。
 最後に、上位3名の句からインスピレーションを受けた絵と曲が披露されました。鈴木さんがギターを演奏、キムチャンヒさんがカラースプレーなどを使用してB2サイズの用紙に描き、作者にプレゼント。大いに盛り上がり句会ライブは終了となりました。