フランス革命前後、王侯貴族や上流階級の人々から「花のラファエロ」あるいは「バラの画家」と呼ばれたピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759-1840)による色彩版画展。ひろしま美術館(中区)では、2012年開催の「ルドゥーテのバラ」展に続く第2弾として、12月17日(土)より開催します。
ルドゥーテは、現在のベルギー南部サンチュヴェールに生まれ、パリで活躍した植物画家です。とくに花を描くことを好んだ彼は、マリー・アントワネットの蒐集室付画家を経て、ジョゼフィーヌの庇護のもとマルメゾン城館に集められた植物を克明に記録する仕事に携わるなど、植物画家として大きな功績を残しました。
『美花選』は、すでに『バラ図譜』などを手掛けたことで名声を得ていたルドゥーテが、67歳のときから数年をかけて出版した、彼の集大成といえる植物図譜です。全144点すべてをルドゥーテが手掛けており、鮮やかな色彩で描かれた花々のやわらかな佇まいが見る者を楽しませる、単なる記録以上の作品群となっています。ルドゥーテは、スティップル・エングレーヴィング(点刻彫版法)という銅版の技法を用いて、原画を線でなく点によって製版しました。これによって、黒い輪郭線ではなく点の集積で表現された花々は、優美でやわらかな表現となったのです。また、肉筆の水彩画では、発色をよくするため、表面がなめらかで絵具の吸い込み具合が少ないヴェラム(動物の皮から作られる)に描くなど、各方面で、制作のこだわりを見せました。
本展覧会では、色とりどりの花、華麗なブーケ、瑞々しい果物等をモティーフにした『美花選』全144点に加え、水彩による肉筆画も併せて展示することで、ルドゥーテの全体像に迫ります。
(公益財団法人ひろしま美術館 学芸員)
※画像はすべてコノサーズ・コレクション東京蔵
≪宮廷画家ルドゥーテの『美花選』展≫
会場:公益財団法人ひろしま美術館(広島市中区基町3−2中央公園内)
日時:2016年12月17日(土)−2017年2月5日(日)9:00−17:00(会期中の金曜日は午後7時まで(入館は閉館の30分前まで))
※12月17日は10:00からの開会式終了後、開場いたします。
※年末年始(12/29−1/2)休館以外は会期中無休
鑑賞料:一般1200円(1000円)、高・大生900円(700円)、小・中生500円(300円)
※( )内は前売り及び団体(20人以上)の料金。
※当展覧会とコレクション展示(フランス近代美術)は共通チケットとなります。
※65歳以上の方は、一般団体料金(1000円)となります。年齢確認出来るものをご呈示ください。
※障がい者手帳をご持参の方は、ご本人と同伴者1名が無料になります。
お問い合わせ先:公益財団法人ひろしま美術館082−223−2530
≪関連イベント≫
※いずれも参加無料、ただし当日有効の入館券が必要です。
■チェンバロ・コンサート
場所:ひろしま美術館 本館ホール
日時:12月23日(金・祝)、1月8日(日)、1月28日(土)14:00−(40分程度)
定員:100名程度(先着順)
■正戸里佳 国際コンクール優勝記念コンサート
場所:ひろしま美術館 本館ホール
日時:1月22日(日)14:00−15:30
定員:100名程度(先着順)
■ミュージアム・トーク
場所:ひろしま美術館 本館ホール
日時:1月14日(土)11:00−12:00
講演:当館学芸員
定員:100名(先着順) |
チラシ
「アネモネ」『美花選』1827-33年
「ロサ・ケンティフォリア、アネモネ、テッセン」『美花選』1827-33年
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