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広島文化賞受賞者に聞く 〜野田正明さん

掲載日:2018年2月15日
まずお一人目は、現代美術家(版画・絵画彫刻)の野田正明さん(福山市出身、ニューヨーク在住)です。

◆広島文化賞の受賞 おめでとうございます。 
 ありがとうございます。長年、国外での活動を日本国内、郷里へとつなげて来た成果を評価いただけたものと、大変嬉しく思っております。これまで私を応援してくださった多くの方々に喜んでいただけたことは、今後への大きな励みとなります。

◆彫刻と絵画彫刻の違い、またそれぞれの魅力とは? 
 絵画は平面の中に夢想の虚空間を自由に表現でき、彫刻は触ることのできる実空間の中で環境を取り巻くスケールや空気感を体験できます。同じ芸術でありながら彫刻と絵画という、異なる世界観は、ミケランジェロと、レオナルド・ダ・ビンチさながらにアートの無限の可能性と魅力を引き出させてくれます。
 公共彫刻を手がけることで建築や環境空間との関係性を考えるようになり、国際交流、次世代との繋がりを意識するようになりました。

◆「版画・絵画彫刻」との出会いや、ニューヨークで活動されるようになったきっかけは?
 1970年代、当時 欧米アートの動向に影響され続け、日本での現代アート活動に先行きの見えない限界を感じ3年期限で体験的にニューヨークへ行きました。同じ時がなく絶えず変動を続け、多様な価値観の混在する人種のるつぼの中での葛藤がグローバルな創作の原点を探求する緊迫感となり、そのまま40年の年月が経っていきました。
 画家、版画家としての地位を築きながら、平面である単一のメディアでは表現しきれないものがあることから、三次元である彫刻制作を始め、空間意識や材質など全く異なるメディアへ取り組むことによって、表現の可能性、周辺への世界観、作用空間が劇的に変わっていきました。

◆野田さんにとって海外で活動することの意義とは?
 日本で基本を習得していたことが、国外での自分や日本の規範に気づく目安になりました。また、ニューヨークヘ拠点を構え日本との行き来をしていく中、様々な価値観への共感や反発、葛藤、刺激を受けながら制作に取り組んでこられたことが、 国際作家としての目を開かせてくれました。
 実際に現地に行くまでは実態は解らないもので、アメリカを中心に、フランス、ギリシャ、中国、台湾、韓国へと赴き、個展やモニュメント設置、講演を行いながら、それぞれの文化的背景やアートの世界を体験することで新たなビジョンが拓けていきました。
 表現者として、国外での活動体験は、グローバルなコミュニケーション能力を高める意味でも大切なことだと感じています。

◆現在取り組んでおられることは? 
 2009年から、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン:1850〜1904年)プロジェクトとして、島根県松江市の小泉凡氏(民俗学者。小泉八雲の曾孫)夫妻やギリシャの関係者たちと、アテネのギリシャ・アメリカン大学、松江市の宍道湖畔、八雲の生地であるギリシャのラフカダにモニュメント彫刻を設置して来ました。
 今後は日本で生涯を全うした小泉八雲の完結編として、2019年までにモニュメント彫刻を国内ゆかりの地で実現させたいとい考えています。

ありがとうございました。
 野田さんの作品等についてはアートサイト「JT-ART-OFFICE.COM MASAAKI NODA」からもご覧いただけます。
 また、ニューヨークにお出掛けの方は是非こちらにも!
 
【遠大なる世界 日本人アーチストとニューヨーク】
1950年から現在までアメリカで活躍した精鋭日本人作家展
日時: 2月23日〜4月1日
場所: ニューヨーク ホワイトボックス画廊

「ヘルメスの精神」 と野田さん(写真右) マラソンスタジアム(ギリシヤ・マラソン市)


「ラフカディオ・ハーンの開かれた精神」 宍道湖畔(島根県松江市)


「ラフカディオ・ハーンの開かれた精神」は宍道湖畔のパワースポット!・・・夕日がハートの中に入るとカップルが成就するのだそうです