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夏の展示「草戸千軒をたんけんしてみよう!」

掲載日:2023年7月15日
ふくやま草戸千軒ミュージアムでは、これまで草戸千軒町遺跡から出土した遺物について、展示や書籍など様々な形で紹介してきましたが、まだ歴史を本格的に学習していない幼児や児童には、どうしても難しい内容のものになってしまいます。
そこでこの度、夏休みに、小学校低学年までの子どもたちを対象として、草戸千軒町遺跡で見つかった遺物から謎を見つけ、その答えを探ってもらう展示会を行います。
昔のものと今のものとを見比べてみて違っているところを発見し、その理由を考えてみる。これは研究者が普段行っていることですが、同じ体験を子どもたちにしてもらいたいと考えています。
しかし、すべての謎の答えがわかっているわけではありません。中には、答えが不明のものもあります。その例として、ここではノコギリについて御紹介します。
《写真1》の上は、草戸千軒町遺跡から見つかったノコギリです。今から750年くらい前の溝の中から見つかりました。ただ、サビていて元の形が分かりにくくなっています。そこで、遺跡から見つかったものを詳しく観察して、元の形を再現しました。それが《写真1》下のノコギリです。
このノコギリは「木の葉型鋸(このはがたのこぎり)」と呼ばれており、ギザギザの歯がある方が湾曲しています。中世の絵巻物には、こうした形のノコギリが描かれていましたが、実物が確認されたのは、草戸千軒町遺跡が初めてです。
なぜ、歯がある方が湾曲しているのか、その理由はよくわかっていません。この形の方が切りやすいならば、現代のノコギリも同じ形のはずですが、このような形状のノコギリは中世から江戸時代中頃までしか確認されていません。建築技術が変化したからなのか、それとも伐採する樹種が変わったからなのか、その理由は未だ謎です。
展示では、他にも賽子(さいころ《写真2》や独楽(こま)《写真3》などのあそび道具や、いろいろな謎を秘めた遺物を紹介します。是非御来館ください。

【会期】令和5年7月29日(土)〜9月3日(日)
【会場】 ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)(福山市西町二丁目4-1)
【開館時間】9:00-17:00(入館は16:30まで)
【休館日】 月曜日(8月14日を除く)
【入館料】 一般290円(220円)、大学生210円(160円)、高校生まで・満65歳以上無料
※( )は団体20名以上の料金

■お問い合わせ先■
 ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)
Tel 084-932-2513

《写真1》上 木の葉形鋸(重要文化財広島県草戸千軒町遺跡出土品)  下 木の葉形鋸復元品


《写真2》賽子(さいころ 重要文化財広島県草戸千軒町遺跡出土品)


《写真3》独楽(こま 重要文化財広島県草戸千軒町遺跡出土品)