古事記や万葉集にも登場する「鵜飼」は、長い歴史をもつ伝統的な漁です。江の川で行われる「三次鵜飼」は古くからの漁法を保ちつつ、より多くの漁獲を求めて技術を改良しながら450年以上続いてきました。また、その技は広島県無形民俗文化財に指定されており、民俗技術としても貴重です。今回は、三次鵜飼にとどまらず、日本や世界の鵜飼に関わる資料を展示します。
主な展示資料として、次のようなものがあります。
古墳時代に、鵜飼が当時の有力者の威信を誇示するための存在だったことがうかがえる、古代「毛」の国の王墓級の規模を誇る、群馬県保渡田八幡塚古墳から出土した、鵜を象った形象埴輪。
「日本で最初の洋画家」といわれ、代表作重要文化財「鮭」で知られる高橋由一が晩年に鵜飼の持つ動的なコントラストとダイナミズムを余すことなく表現した「長良川鵜飼」。
東アジアで発展した鵜飼の多様性を示す、中国湖北省で使用された鵜飼舟(双胴船)と関連する鵜飼用具一式など。
本展をとおして、古代以前に遡る鵜飼の歴史性や、絵画や造形で表現された鵜飼の持つ美術性や精神性など、日本文化の中での鵜飼の位置付けを明らかにし、世界的な鵜飼のありようも踏まえた上で、三次鵜飼の特徴を紹介します。
(みよし風土記のミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)主任学芸員 葉杖哲也)
【会期】10月6日(金)〜11月26日(日)
【会場】みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館) 企画展示室(三次市小田幸町122)
【開館時間】9:00〜17:00(入館は16:30まで)
【閉館日】月曜日(ただし、10月9日(月・祝)は開館)、10月10日(火)
【入場料】一般700(560)円、高校・大学生520(410)円、小・中学生350(280)円
※( )は団体20名以上の料金
【関連行事】
第1回記念講演会「世界的視野からみた鵜飼と日本の鵜飼」
日時:10月14日(土)14:00〜16:00
定員:100名(事前申込・先着順)
講師:卯田 宗平(国立民族学博物館 教授)
申込方法:イベント名・氏名・年齢・住所・電話番号を記入し、電子申請・Eメール・FAX・はがきのいずれかで申込。
第2回記念講演会「日本古代における鵜飼の始まり−考古学視点から」
日時:11月4日(土)14:00〜16:00
定員:100名(事前申込・先着順)
講師:賀来 孝代(毛野考古学研究所 調査整理研究員)
申込方法:イベント名・氏名・年齢・住所・電話番号を記入し、電子申請・Eメール・FAX・はがきのいずれかで申込。
鵜飼実演・鵜に親しむ
日時:10月15日(日)11:00〜11:30、13:30〜14:00
会場:みよし風土記の丘内 実演:三次鵜飼鵜匠
定員:なし(当日受付)
秋のロビーコンサート−川によせて− 箏、十七絃、尺八
日時:11月3日(金・祝)13:00〜14:00、15:00〜16:00
演奏:箏/小田貴美子、渡邊圭子 尺八/田高輝夫
定員:なし(当日受付)
展示解説会
日時:10月22日(日)・11月19日(日)14:00〜15:00
解説:みよし風土記の丘ミュージアム職員
※入館料必要
【問い合わせ先】
みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)
tel:0824-66-2881 FAX:0824-66-3106
rmsgakugei@pref.hiroshima.lg.jp |
鵜形埴輪(保渡田八幡塚古墳出土) 古墳時代 かみつけの里博物館所蔵・提供
高橋由一 長良川鵜飼 明治24年(1891) 東京国立博物館所蔵・Image: TNM Image Archives
鵜飼舟(双胴舟) 中国湖北省 20世紀 国立民族学博物館所蔵・提供
|