第44回広島文化賞を受賞されたコジマ・ムジカ・コレギア(尾道市)の代表 小島燎さんにお話を伺いました。
◆広島文化賞の受賞 おめでとうございます。
ありがとうございます。当時広響のコンサートマスター故・小島秀夫による設立から30年以上が経ちました。継続して、若手演奏家の活躍機会提供や、音楽を通じた子どもたちの育成に携わってきた実績を評価していただき、大変光栄に存じます。
◆コジマ・ムジカ・コレギア定期演奏会、ジュニアオーケストラ、しまなみ音楽祭/5月の尾道音楽学校を、継続的に30年に渡って開催されています。参加された若い演奏家たちとのエピソードをお聞かせください。
どの活動でも一貫して、アンサンブル(合奏)の喜びを青少年に伝えたいという趣旨で活動しています。
コジマ・ムジカ・コレギア定期演奏会では、これまで200人以上の若手音楽家がオーケストラとの初共演の舞台に立ってきましたが、指揮者とオーケストラの温かいサポートと、ボランティアスタッフによる献身的な運営によって、1000人のお客様に拍手をいただきながら演奏できることが大きな魅力です。出演をきっかけに世界の舞台に羽ばたく人もいますし、この演奏会を目標に頑張っている子どもたちもいます。
ジュニアオーケストラでは、「競争より協調を」をモットーに、幼児から高校生まで分け隔てなく受け入れて活動してきました。最初はベルや鈴で参加していた子どもが、お兄さん・お姉さんを見習って少しずつ成長し、いずれ次の世代を指導する立場になります。合奏が楽しいから音楽を続けるという子どもが大半で、講師としても、10年〜15年のスパンで一人一人の子どもたちに寄り添うことができるのが魅力です。
しまなみ音楽祭/5月の尾道音楽学校については、室内楽を勉強する機会を求め、最近では全国の小学生や音大生も集まってくるようになりました。講師も一緒に演奏するのが特徴ですが、世代も近い若い先生たちが弾く姿への憧れも育まれています。「ここに参加したことで、音楽への愛に火がついた」という子どもたちがたくさんいます。
◆継続して開催されることで、苦心されていることはありますか?
少子化の影響もあるとはいえ、音楽に、広島ではとくに弦楽器に親しむ子どもたちをもっと増やすための取り組みを充実させる必要があります。専門家を増やすということではなくて、音楽を愛する人たちを幅広く育てないことには、将来へ音楽文化を継承していくことは難しいのではないでしょうか。
また、すでに有名になって活躍する方だけでなく、まさにこれからという段階の、可能性にあふれた子どもたちや若手音楽家のプロジェクトにも、もっと多くのお客様がお越しくださったり、もっと多くの企業や自治体の理解・サポートが受けられるような体制が整っていけばいいなと思います。
裾野を広げる活動、未来への種をまく活動。地味な面もありますが、今回の受賞をきっかけに、そうした取り組みがいかに大切か、伝わればいいなと思います。
◆現在取り組んでおられることや、今後どのような活動していきたいか、目標などがありましたら、お聞かせください。
地域に音楽文化を根づかせ、子どもたちの豊かな心を育む、という活動趣旨はこれからも変わりませんが、もっと僻地に音楽の喜びを伝えていきたいです。また、私がフランスを拠点にしていることもあり、活動の国際化を図っていこうとしています。2020年から続けている「しまなみ海道・秋の音楽休暇村」では、フランスの若手音楽家と広島の子どもたちを交流させたり、一緒に舞台を踏ませたり、といった試みを行っています。そして、創立者の小島秀夫も言っていたことですが、いずれは今のさまざまな活動を融合して「音楽小学校」のようなものをつくり、コジマ・ムジカ・コレギアから巣立ったOB・OGたちと協力して、未来に継承していければと夢見ています。
◆若い演奏家の方たちに伝えていきたいことをお聞かせください。
いまは多様性の時代といわれますが、音楽の世界でも、自分の道を切り拓く力が問われていると思います。広い視野を持って、自分にしかできない音楽人生を歩めるような、そんな勉強をしてもらえたらと思います。また、自分がステージで活躍するだけで満足するのではなく、自分が育った場所への還元を一人一人が考えていってほしいと思います。
ありがとうございました。
告知 -----------------------------------------------
第11回しまなみ音楽祭/5月の尾道音楽学校
5/3(木・祝)〜5/6(日) 尾道市民センターむかいしま「こころ」
コジマ・ムジカ・コレギア第31回定期演奏会
8/9(金)JMSアステールプラザ大ホール
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小島 燎 さん
青少年のためのオーケストラの祭典-2023年度開催-
しまなみ海道・秋の音楽休暇村2023
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