山県郡北広島町在住の刀工、三上孝��さんにお話を伺いました。
◆広島文化賞の受賞 おめでとうございます。
ありがとうございます。ビックリいたしました。
昨今の天災や経済不安に私達伝統的工芸の世界でも少なからず影響を受けており、そのような時のこの受賞は、支援していただいている方々にも明るい話題として喜んでいただき、とてもうれしく思っています。これを支えとして作刀に専念したいと思います。
◆日本刀の魅力についてお聞かせください。
刀の世界は、最低限の機械化はあるものの手作りを評価していただける数少ない世界で、姿の美しさ、木の生命力の現れともいえる木目を連想させる鍛え肌、鍛え肌にからむ刃文の変化…と、宝石にも似た輝きが魅力です。
◆日本刀を鑑賞する際のポイントは？
時代による進化や用途などによって姿に変化があります。また、刀には作者や制作年月の銘が刻まれているものが多く、作者の思いや時代背景、伝来を思い浮かべながら鑑賞するとより時代のロマンが感じられるのではないでしょうか。
また、地鉄の変化や刃文の輝き・変化は、わずかな刀の傾きや光線の具合によって見えたり見えなかったりします。立ち位置や視線の高さを調節しながら見ると、その時々で刀の表情が変わり、同じものかとビックリするほど美しく見えることがあり見飽きないものです。一度では魅力が感じられなかった場合も、何度かご覧になることをおすすめします。
◆講演活動も行っていらっしゃいますが、三上さんが最も伝えたいこととはどんなことですか。
「和而不同(わしてどうぜず)、自他共生(じたともにいきる)」。聖徳太子は「和をもって貴しとなす」と言い、毛利元就は三本の矢で団結の大切さを説いたと伝えられています。このような大和心を重んずる武士の魂とされる日本刀も、異性質の鋼をそれぞれの特質を活かし、互いに補い合うよう上手くまとめて造られており、そのことが強靱さや魅力を生み出す根源になっていると思われます。異性質のものをまとめることはたやすいことではありませんが、家族や仲間、広くは日本で、互いの特質を認め合い活かし合う関係が生まれたら良いなと思います。
◆今後の活動に向けてひと言お願いします。
今や自国の利益のみを考えるのではなく、世界的な観点で考えなければならない時代を迎えています。国も個人も世界の中での歩むべき道・生き方を模索するために、それぞれの環境で培われてきた特性（歴史、文化、自然…）について今一度見直す必要があるのではないでしょうか。
私は刀鍛冶ですから、作刀を中心に日本の文化や歴史・技術等を振り返り、その中で自分に出来る伝承の道・生き方を模索していきたいと思っています。どうぞ皆様の知恵とお力をお貸しいただけますようお願いいたします。
ありがとうございました。
奥が深い日本刀の世界ですが、広島でもしばしば観賞会が行われているそうですので、是非お出かけください。
普段馴染みの浅い方でも、日本刀をより深く観賞するポイントが掴める絶好の機会ですよ！
【お問い合わせ】
三慶会掲示板 メール： sankeikai@gmail.com
【関連ホームページ】
全日本刀匠会
【今後の予定】
日本刀初心者入門講座「三慶会」
お守り刀展覧会
広島「ＫＡＺＡＲＵ展」 など
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平成23年11月14日 広島文化賞贈呈式にて
平成3年 新作名刀展第一席「高松宮賞」受賞作 太刀（長さ79.4cm、反り2.2cm）
仕事場での三上さん
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