ふるさとの文化『神楽』ブラジルへ・・・�� 掲載日：2008年6月1日
5月上旬、旧日本銀行広島支店を年配の方から小さな子まで、さまざまな年代の人が訪れていました。日本からブラジルに渡った人々の足跡をたどる『ブラジル日本移民百周年記念写真展―新世界に渡った日本人』が開催されていたからです。「親戚が渡ったんですよ」訪れた人は話してくれました。また、展示会場に何度も足を運んだ人もいたそうです。広島は全国でも有数の移民県と言われています。その一端がここでも窺えます。
その会場の中で一際目を引いたのが、醤油樽を利用した手作りの太鼓に、紙で作ったお面、そして金色の龍の絵柄の衣装です。広島からブラジルへ、お土産として持ち込まれた神楽面がきっかけとなって「ブラジル広島神楽保存会」は発足しました。その保存会が身近なもので手作りした神楽道具。人々の心に、身体に、ふるさとの「神楽」は沁み込んでいたのでしょう。
盛んに神楽は演じられてきたものの、保存会の活動は一時休止状態となりました。それは、メンバーの死去や高齢化といった日本の伝統芸能・郷土芸能が抱える問題と同じです。「神楽を後世に残したい」メンバーの思いから、保存会は広島出身者だけでなく、神楽に興味がある人へ積極的に神楽の説明会を開始しました。そして母県広島にも支援を呼びかけました。それに応え、広島から衣装やお面などが数多く寄贈され、さらに広島の神楽団の団員が指導者としてブラジルに派遣されました。そのかいあって、女性を含む若者が神楽の継承に取り組み始めました。保存会が演じるのは石見地方に伝わっている神楽で、豪華な衣装とテンポの速い舞いが特徴です。さらにはブラジル式のアレンジも加えられています。ふるさとの「神楽」はブラジルで新たな特徴を取り入れ、継承されつつあります。
6月13日から22日までブラジルで開催されるブラジル日本移民百周年記念事業「日本文化週間」へ、広島県代表として安芸高田神楽協議会の派遣が決定しました。この神楽協議会は「横田神楽団」、「上河内神楽団」、「原田神楽団」からなる混成チームです。演出など神楽団によって異なるため、３団体が一体となって舞台を行うのはとても珍しいことです。息のあった舞台作りのため、合同練習を重ね、調整が繰り返されています。混成チームが舞うのは、「八岐大蛇」、「滝夜叉姫」、「紅葉狩」。
ブラジルで、混成チームのどのように舞台を仕上げるのか、広島の神楽がどのように迎え入れられるか。
ブラジル日本移民百周年記念式典の6月20日（日本時間21日）にブラジルサンパウロ市で公演予定です。
【お知らせ】
安芸高田神楽協議会による出発前の記念特別公演
日時：6月8日（日）18：00〜20：30
場所：安芸高田市民文化センターホール
料金：無料
【参考】
広島からの移民のくわしい情報、神楽保存会の公演の様子や神楽道具などの貴重な写真をご覧いただけます。
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広島市デジタル移民博物館 |
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