「葛原文化」って一体それなあに、と思われる方は多いでしょう。でも福山市神辺町出身の葛原しげる(1886-1961)作詞の童謡「夕日」や「とんび」、「村祭り」はご存知ではないでしょうか。その数3000篇とも4000篇ともいわれ、さらに全国400校以上にも上る校歌の作詞も手掛けてきました。夏の高校野球でよく聞かれる広島県代表校の広陵高等学校や瀬戸内高等学校の校歌がそうですが、もしかしたら皆さんの母校の校歌も作詞は葛原しげるかもしれませんね。
葛原しげるはいつも子ども目線、いつもニコニコ、いつもピンピンがモットーで、現在でも「ニコピン先生」の愛称で親しまれています。また「春の海」で知られる福山市鞆町出身の作曲家・宮城道雄との交流はとても有名です。このように作詞者であり教育者であった「葛原しげる」が創り上げた文化が1つ。
一方、祖父の勾当(1812-1882)は、3歳のとき疱瘡で失明しながらも、後に京都以西に勾当の右に出るものなしと言われたほどの腕前を持つ生田流の琴の名手です。また「葛原勾当日記」は、16歳から始め26歳からは自ら考案した「印字用具」を使用し生涯にわたって書き残しもので、県重要文化財に指定されています。目の見えなかった勾当が残し現存するものでは日本最古級と思われる折り紙など、「葛原勾当」が創りあげた文化が1つ。
そして目の見えなかった勾当自ら設計して建てた築170年が経過した家は、葛原しげるの生家でもあり、勾当一代限りに許された「琴柱」の定紋や、武家屋敷にしか見られないであろう「式台」が残され、「葛原邸」と呼ばれ現存しています。
こうして、「葛原しげるが創り上げた文化」・「葛原勾当が創り上げた文化」・「葛原邸」これら3つの宝を「葛原文化」と位置づけ保存継承するために、毎年6月の生誕祭(写真1)、9月の月見の会(写真2)、12月のくずはら祭(写真3)の三大祭り事業を行っています。これらを中心に、施設の清掃事業・施設開放事業・教室事業などを通して「いつもニコニコいつもピンピン」の地域づくりを目指し、行政と連携を図りながら幅広く取り組んでいます。
来年2016年は葛原しげる生誕130年、福山市制施行100周年のお祝いに重ね一大イベントを開催(6月・10月)します。現在、記念品のデザインや夕日の写真、絵を募集しています。
また葛原文化保存会は、会費制で誰でも加入することが出来ます。趣旨に賛同いただき一緒に活動くださる方を、広く募集しています。
【問い合わせ先】
葛原文化保存会
〒720-2112 福山市神辺町大字八尋1220-1
TEL&FAX 084-965-6111(但し1〜4週の土日のみ)
なお、毎年秋に行う「親子で歌い継ごう日本の歌百選コンサート」は、文化庁が募集した「親子で歌い継ごう日本の歌百選」に葛原しげる作詞の「夕日」「村祭り」の2曲が選ばれたことを記念して、一般から参加を募集しています。今年の申し込みは終了しましたが、下記の日程でコンサートを開催しますので、ぜひご来場ください。
■親子で歌い継ごう日本の歌百選コンサート
日時:2015年11月3日(火)9:30-
会場:福山市神辺文化会館(福山市神辺町大字川北1155-1)
入場料:無料
問い合わせ先:
福山市神辺文化会館 084-963-7300 |
写真1:葛原しげる生誕祭
写真2:葛原邸・月見の会
写真3:くずはら祭
|