さらさらさらと耳に心地良い音と共に過ぎる涼やかな風。
林間に優しく射し込む陽の光の向こうに見える青い空。
一昔前には人の営みがあったと感じられる段々畑の痕跡に積もる竹の葉。
そんな人を優しく包みこむ空間に展示された竹を素材とした造形作品。
ここには、日常と非日常が行き交う時間と空間があります。
『大塚かぐや姫プロジェクト』は、里山の荒れた竹林に手を入れ、京都に見られるような美しい竹林を蘇らせるとともに、美術の素材として竹を使うことの可能性を探ることを竹林のある広島市安佐南区沼田町大塚地区などの地域住民と広島市立大学芸術学部の教員・学生が一緒に取り組むプロジェクトです。
今年で3年目となるプロジェクトですが、1年目は陽の射さない、淀んだ空気が支配する竹林に手を入れるとともに、作業場となる空き地や周辺の除草など根気のいる作業がひたすら続きました。
蜘蛛の巣のようになった朽ちた竹の残骸を整理し、通勤電車のように息苦しく密に生えた長大な孟宗竹を間引き、足元が滑りやすい法面を引き上げる作業は大変でしたが、地域の人達の知恵と若者の力が合わさり、空が透け、風が通る場になりました。
2年目は海外からの留学生も参加し、手を入れるエリアを拡大するとともに、学生が中心となって作品制作を行いました。
竹の柔らかさや直線的な美しさなど素材の特徴を生かした13の作品が制作され、手の入った竹林内に展示されました。
また、展示期間中には一夜限りの催しとして2千個余りのキャンドルを竹の切り株に灯したライトアップと篠笛の演奏会を行い、多くの人を魅了しました。
このような取り組みが、私たちの身近にある場(環境)を見つめ直し、人や社会とのつながりを考え、表現することに繋がればと考えています。
そして、今年もさらに整備エリアを拡大し、プロジェクトを進めます。
作品制作などの現場作業は9月に終わりますが、竹林と作品展示の一般公開および竹林ライトアップと交流会を次のとおり行います。
ぜひご来場ください。
【竹林公開と作品展示】(無料)
平成20年10月1日(水)〜10月15日(水)10時〜17時
【竹林ライトアップと交流会】(無料)
平成20年10月4日(土)19時〜21時
<お問い合わせ>
電話082-830-1507 FAX082-830-1658 広島市立大学芸術学部事務室分室
e-mail:maekawa@art.hiroshima-cu.ac.jp
URL:http://ozuka.art.hiroshima-cu.ac.jp/ |
整備後の竹林と作品
学生と地元住民の協働作業
交流会の様子
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