福山聞き書き人の会は、2022年6月に発足しました。「聞き書き」とは、語り手の言葉をそのままに書き起こし、記録する取り組みです。郷土の歴史文化を記録したり、語り手と聞き手の世代を超えたつながりが生まれたり、語り手が元気になったり、その効能はまちづくりや教育、介護福祉などさまざまな分野で評価され、取り入れられています。
当会では福山市内在住者を中心に、そうした「聞き書き」に関心を持つ人たちが集い、学び合いながら、それぞれの身の回りの人たちの人生を記録しています。 年に一冊くらいのペースで、それぞれが取り組んだ聞き書きを掲載した冊子を発行することを目標に活動しています。
メンバーは現在7名で、福山市内在住のメンバーが4名、あとは尾道市、そして大崎上島町、東広島市から来てくれています。毎月の定例会では、それぞれの聞き書きの進捗を共有したり、地域の歴史に関することや聞き書きに関連する書籍の話をして、にぎやかに過ごしています。
会をつくって聞き書きに取り組んでよかったと思うことは3つあります。
一つ目は、聞き書きをキーワードにさまざまなつながりが得られること。今年は香川県の歴史民俗資料館が主催する地域文化のアーカイブに関するトークイベントに登壇する機会をいただいたほか、東京都内の大学でオーラルヒストリー*を研究するゼミの学生たちと交流することができました。他にも、聞き書きに興味があるとスポットで参加してくださる方、本ができたら読書会やトークイベントをやりたいと言ってくださる方が、福山市外からも声をかけてくださって、楽しみが増えています。
二つ目は、聞き書きをきっかけに地域の歴史文化への関心が深まること。会の中では地域の歴史文化に関する雑談も多く、福山周辺で特徴的な「辻堂」**について話題になりました。辻堂について聞き書きをしているメンバーはいなかったのですが、ぜひ詳しい方に話を聞いてみたいということになり、会が主催して「専門家とまでは言えないけど辻堂が好き」という方をお招きして「辻堂を語る会」を2回開催しました。
三つ目は、それぞれの聞き書きのつながりを発見するおもしろさがあること。聞き書きの対象者は主に、著名人ではない市井の人々です。暮らしている町も仕事も年齢も違う人たちのお話の中に共通点が現れたり、その背景にある歴史の大きな流れとのつながりがわかるのがおもしろいのですが、それは一人で取り組んでいては気付けなかったことだと感じています。
私たちが取り組んできた聞き書きをまとめた初めての冊子は、今年11月に完成する予定です。ぜひ手に取っていただければ幸いです。
聞き書きは書き起こしがベースになるので、文才はあまり必要ありません。そしてもちろん福山市以外の方も歓迎です。気負わずに、まずは一度お気軽にご参加いただければうれしいです。
【問い合わせ先】
福山聞き書き人の会(中尾)
k-nakao★minato-henshu.com(★を@に変えてください)
もしくはFacebookページ「福山聞き書き人の会」までご連絡ください
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*オーラルヒストリー(oral history):ある個人にその体験を口述してもらい、これを記録、分析する一連の作業の総称。
**辻堂:江戸時代に備後福山藩(広島県福山市)を中心に旧街道沿いなどに広く整備された木造建築物。当初は、旅人の休憩場所として建てられたが、のちに地蔵や石仏が持ち込まれて信仰の場としての意味も持つとともに、地域住民の日常生活の催しの場としても活用されるようになった。 |
「福山聞き書き人の会」活動風景
辻堂を語る会
オーラルヒストリー研究会
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